株式会社 武平作

創業90年を超える米菓メーカーのひざつき製菓株式会社。その直営店である株式会社武平作は、栃木県内で4店舗を運営しています。コロナ禍でも家庭内「おやつ」需要が好調で、業況は堅調に推移しています。

長い業歴の中で、さまざまな環境の変化に対応してきました。その中でも特に脅威だったのは、コンビニスイーツの台頭です。コンビニとの差別化を図るため2016年頃から開始したのが「できたてキッチン武平茶屋」です。店内にカフェを併設。オープンキッチンで調理されるお団子、あんみつ、どら焼き、揚げ餅などをその場で食べられるのが魅力。店内のテーブル席のほか、テラス席も完備しており、気持ちを落ち着かせ、ゆっくりと味わうことができます。また栃木本店は、製造工場に隣接していることもあり、正にできたて直送といったイメージです。それを想像しただけでも「わくわく」しますね。

武平茶屋で、ぜひ食べてもらいたいのが、武平作を代表する団子(みたらし)です。焼き目がついた部分はカリっと、中はトロっとした食感に、甘じょっぱいみたらしの相性は抜群。武平茶屋では、お団子などの定番商品のほか、春は草餅・さくら餅。夏はかき氷。秋は栗。冬はいちごと、四季の旬を楽しめるのも魅力のひとつ。

栃木本店、小山店は広々とした屋外スペースがあり、ボルダリング設備やハンモックなどの遊びも充実しています。一日中武平作で過ごす家族もいるそうです。新型コロナウイルス感染拡大前は、定期的にイベントを実施。その際は1日平均1,000名を超える人を集客していました。しかし、コロナ禍でイベントが中止。現在は感染症対策をしつつ、徐々に再開しています。

マネージャーの栗原 務さんは「おいしい商品を提供するのが第一。また来店されたお客さまの“思い出”に残る“おやつ菓子屋さん”であることが大切です」と話します。また「イベントは企画先行の内容では、実施しない」というのが社の方針です。「企画の面白さだけではなく、おいしさと安全性が担保されていないといけません」と続けます。

このような店舗づくりで、来店客増加はもとより、平均滞在時間の伸張、県外の来客を促し、商圏拡大を実現しました。恩恵はそれだけではなく、ライバル業界であるコンビニのプライベートブランドの商品開発を行うなど、全国にも知名度を上げることにも繋がりました。また、「わくわく通販」で紹介した谷中農園岩下食品とコラボした商品も発売しています。

対面での販売を大切にしつつも、全国の方においしいものを届けたいとの思いから、自社の通販サイトにも力を入れています。新たな取り組みとして「つくりたて」のおいしさを凍らせてで閉じ込めた「冷凍おかし」の販売を開始。工場で凍らせたものを自宅で解凍することにより、できたての味に近づけることを実現しました。工場を有する強みを生かした施策だといえます。

創業100年周年を前に、みんなの思い出の味となる日も近い。